紅藻類のテングサやオゴノリなどの海藻が原料で、水に晒し天日干しで乾燥させることを繰り返すと赤紫色から馴染みのある白色になります。これを沸騰させた湯で煮出し、冷ますと寒天ができあがります。動物の骨などから抽出したゼラチンから作るゼリーと見た目は大変似ていますが性質は全く別物です。ゼリーは1%以上のペクチン濃度と65%以上の糖分などが含まれないと固まらない上に、一度溶かして固めたゼリーは20℃で溶けてしまうので、夏場に冷蔵庫から出していると溶けてきます。一方寒天は糖分も不要で濃度が1%以下でも固まり、一度固まってしまうと90℃近くにならないと溶け出さないため温度変化にも強い性質があります。この溶け出す温度差がゼリーと寒天の口当たりの違いでもあります。寒天は成分のほとんどが食物繊維で、不溶性のアガロースや水溶性のアガロペクチンなどを含んでいます。食物繊維は消化酵素だけでは分解されず、ほぼそのまま腸まで送られます。水溶性食物繊維は水分を得るとゼリーなどのようにゲル化し、体に不要な脂肪・コレステロールを吸着し排出させる働きがあります。不溶性食物繊維は水分得ると膨張するので腸を刺激し、排便を促します。また、寒天そのものが腸内細菌のエサにもなるので腸内環境が整う効果があります。また一酸化窒素は不足すると血管が硬化してしまいますが、過剰な増加をすると大腸ガンの原因になることが分かっています。この一酸化窒素の生成を過剰にならないよう抑える働きをアガロペクチンが持っているといわれています。凝固に糖分も不要な上、寒天自体のカロリーもほぼありませんからダイエットには最適ですが、大量に摂取し過ぎるとビタミン・ミネラルが吸収されにくくなってしまうため摂取量には気を付けましょう。