燻製を行うときには、塩漬けの工程を挟む必要があります。これを行うことで、食品の生臭さを減らすことができます。また、塩漬けをしたことにより水分を排出することができ、味を整えることができます。魚介を漬け込んで保存する塩蔵と呼ばれる原理と同じですが、浸透圧の関係で水分を取り除くことができます。塩自体が防腐の効果を生むのではなく、塩水を溶液している最中には微生物が繁殖しづらくなるという仕組みです。
塩漬けをするためには、直接食品に塩を擦りこむ「乾塩法」と、塩の入った液体に食品を浸す「湿塩法」があります。乾塩法は特別な道具などは必要なく、塩を擦りこむだけなので大量の食品を扱うことも可能です。一方で、単純に塩を使っているだけなので不均等にもなりやすく、塩を無駄にすることもあります。また、脂分の多い魚などを扱う場合、空気に触れる面積が広くなり、脂焼けを起こすこともあるそうです。
湿塩法は、液体に食品を浸すため、塩分が均等に行き渡り、油脂が酸化してしまうことも少なくなります。一方で、先に塩漬け用の液体を用意しなければならないので、仕込みに時間が掛かってしまうというデメリットがあります。塩漬け用の液体は、ソミュール液(ピックル液)と呼ばれています。塩分の濃度を二十パーセント程度にした塩水に、ハーブや香辛料、三温糖などを加えて煮立てます。好みでにんにくやたまねぎ等を使うこともあるそうです。しっかりと煮立てた後に、冷ましてから食品を漬け込んで使用します。煮立てる時間や塩の量などを調整して、自分好みの味を作ることも楽しみのひとつと言います。燻製を行うときはもちろん、肉の下ごしらえとしてバーベキューで使うこともできますし、有名店のレストランでも使用することがあるそうです。