命の選択

人の生死には「おのずから」の問題と、「みずから」の問題という相異なる2つの面があると述べています。科学研究によって新しい知見が得られると、「おのずから」新しい選択肢が生まれます。

それは時に魅惑的であったり、或いは胡散臭かったりするでしょう。しかし、そうした選択肢の誕生とは全く別問題として、私たちには「自ら」どうするのか、という選択の余地あるいは判断の責任が残されています。

科学とい医学の進歩は皮肉な事に、死と向き合う手段が著しく少なくなってしまっていると言えます。長い人類の歴史の中で、死と向き合う為に私たちの祖先は数多くのものを生み出しました。

文学、芸術、宗教、様々な儀式。このような中には恐らく、死と向き合う色々な知恵が合ったのではないしょうか。それを今や私たちは見失っているとも言えます。けれども、そういうものを掘り起こし、新しい科学や医学の知見、技術と一緒に合わせながら、死という問題に立ち向かっていく必要があると思います。

死は必ず訪れます。数十億年という歳月を受け継いできた、今ある自分たちの命を大切にするためにも、やはり死と向き合う事が大切なのではないでしょうか。